神秘

SFとかの空想で現実的ではないのでバカバカしいと思う人も多い現状、“夢物語”なタイムトラベルですが、実は多くの物理学者が大真面目にタイムマシンの理論を研究しています。
なぜなら、あの天才アインシュタインの相対性理論によれば、過去へも未来へのタイムトラベルもある意味“可能”だということが数式から導き出されているからです。


今回は、その中でも有名なアメリカの理論物理学者であるキップ・ソーン博士が提唱した“ワームホールを利用したタイムマシン”について紹介しようと思います。

キップ・ソーン
キップ・ソーン博士(画像元:wiki

アインシュタインの相対性理論の発見で、“時間”というものが常に誰に対しても一定ではないことがわかりました。
その結果、“未来”へはわりと簡単に行ける(といっても理論上の“簡単”ですが)ことがわかっていて、例えば光速に近いスピードのロケットで宇宙を旅をして地球に戻れば、地球ではもっと時間が進んでいて、結果“未来”へ行けるからです。

ですが、過去への旅は、理論的になかなか難しい。
そんな過去へのタイムトラベルについて、ソーン博士は、“ワームホール”をうまく使用すれば可能かもしれない!という理論を発表しました。

ワームホール
ワームホールの概念図 画像元:wiki


ワームホールとは、時空のある1点から離れた別の1点をつなぐトンネルのようなもので、わかりやすく言うとドラえもんのどこでもドアです。
これには、ブラックホールが関係してくるのですが、実はブラックホール、大きく分けると2種類(シュヴァルツシルト・ブラックホールもしくはカー・ブラックホール)に分類されることがわかっています。
違いを簡単に言うと、

  • シュヴァルツシルト・ブラックホール・・・回転していない
  • カー・ブラックホール・・・回転している

というもので、ソーン博士のタイムマシンには、後者の“カー・ブラックホール”が使われます。

ブラックホールの中心には、“特異点”というものがあると言われており、超巨大な重力を持ち光さえも逃れられず、中心の特異点の1点に全てが飲み込まれてしまいます。
その中心の1点である特異点ですが、カー・ブラックホールのように“回転”していれば、その特異点に巻き込まれずにうまく特異点の周囲に回り込めて特異点から脱出できるかもしれないと言うのです。
で、脱出したその先には、宇宙の別の時空へつながっていて、出口がある!というもの。

ワーム・ホール
イメージ図 画像元:wiki

本当は、これに謎のエキゾチック物質だとかいろいろ難しい理論がでてきますが、今回はわかりやすく説明すると、カー・ブラックホールで特異点を回避すれば、

A:東京のどこれもドア
  ↓
ワームホール
  ↓
B:ニューヨークのどこでもドア

と、東京というA地点から、遠く離れたニューヨークというB地点へワームホールを使ってワープできるということです。
でも、これだとただの“どこでもドア”で、時間の壁は超えられません。

そこで、タイムマシン機能を持つ“どこでもドア”が必要になります。
ワームホールがあっても、このままでは、

出発:お昼の12時の東京にあるどこでもドア
  ↓
ワームホール
  ↓
到着:お昼の12時の東京にあるどこでもドア


であって、同じ時間なのであれば、ただの穴の空いたどこでもドアなだけで、意味がありません。
作らなければいけないのは、

出発:お昼の12時の東京にあるどこでもドア
  ↓
ワームホール
  ↓
到着:お昼の14時の東京にあるどこでもドア

これです。
で、ソーン博士が考えたのは、到着するお昼の14時の東京にあるどこでもドアの作り方です。

まず、到着、つまり出口側のお昼の12時の東京にあるどこでもドアを“光速”でビュンっと引き伸ばします。
相対性理論で、光の速度に近ければ近いほど時間はゆっくり進むので、出口であるどこでもドアへ未来へ行くことになり、ビュンっと光速で伸ばしたどこでもドアを元に戻せば、未来へいけるタイムマシン機能を持ったどこでもドアができるのです。


そして、今度は過去へ。
今度は、到着側のお昼の14時のどこでもドアから、同じワームホールを使って“戻り”ます。
すると、

出発:お昼の12時の東京にあるどこでもドア
  ↓
ワームホール
  ↓
到着:お昼の14時の東京にあるどこでもドア
  ↓
ワームホール
  ↓
出発:お昼の12時の東京にあるどこでもドア


見事に“過去”へ戻れる!
これが、ソーン氏によるワームホールを使ったタイムマシンなのです。

ですが、欠点がひとつあります。

それは、このタイムマシン機能を持ったどこでもドアは、それが“出来た”時点より過去へは行けない!!!ということです。
現在Aから未来Bへ行き、未来Bから現在(Bからすると過去)Aへは戻れますが、Aが基準ですから当然です。

となると、今現在人類はタイムマシンの開発はできていないので、このワームホールを使ったタイムマシンができる未来以前の過去へは来れないわけで、現在2014年に未来人が来ている痕跡がない理由になるのです。
2100年にもしワームホールを使ったタイムマシンが出来ても、2099年には戻れないわけなので、2014年には、タイムトラベラーは理論的に“いない”のです。

ワクワクするタイムトラベル理論ですが、最後の最後にちょっと残念。

ちなみに、このタイムマシン機能を持ったワームホールを使ったどこでもドアの理論を使ってソーン博士のアドバイスで出来た映画が、セーガン原作で、ジョディー・フォスター主演映画「コンタクト」だそうです。

映画「コンタクト

宇宙人のメッセージを解読しそこに書かれていた設計図を元に“移動装置”を作って、主人公(ジョディー・フォスター)がその装置でワームホールを抜けて遠い星の宇宙人に会ってまた地球に戻ってきたら、地球では変化がなかったものの実は18時間も経過していた!というお話 

ソーン博士のこの理論を知って見るとかなり面白い映画です。